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ベネズエラ・ボリバル共和国憲法(和訳)

監修:佐藤 美由紀(杏林大学総合政策学部准教授)
訳者:岡部史信(創価大学法学部准教授)&アルベルト松本(イデア・ネットワーク代表取締役、神奈川大学講師) 「ベネズエラ憲法翻訳チーム」  非売品−2007年3月

法律研究者及びラテンアメリカ研究者でこの和訳をお求めになりたい場合は、こちらまでご連絡ください。Tel&Fax: 045-544-0192 E-mail: jam@ideamatsu.com (アルベルト松本) 部数に限りがありますのでご了承ください。


ベネズエラ・ボリバル共和国憲法の構成と特徴      
 

岡部史信

1.構成と全体的展望:ベネズエラ・ボリバル共和国憲法は、1999年12月に制定された。この憲法の施行により、ベネズエラ共和国の名称は「ベネズエラ・ボリバル共和国」に変更され、その名が示すとおり、シモン・ボリバルの教理に最大の敬意が払われている。
  私の見たところ、この憲法の特徴を簡単に表すキーワードは、「直接民主制」、「人権尊重」、「大統領権限強化」、「各種権力機関に対する監視と統制」であろうと感じている。すなわち、この憲法の最大の注目点は、国民の意思を国の運営の中心においていることであり、そしてその実効性を高めるため、大統領の各種権限を強化していることである。

2.直接民主制の重視:前文に定められている民主的・参加型・主導的社会を実現するため、国の運営に関して直接民主制が重視されている。特に興味深い点は、共和国の重要事項についての諮問、法律の廃止、大統領の職を含むすべての選挙職の罷免に国民投票が用いられるなど、強力な国民投票制度が確立されていることである。

3.人権尊重:人権について特に興味深い点は、人身の自由、国民投票制度、家族・未成年者・青年・高齢者・障害者の保護、文化・教育の権利、環境権、先住民族の権利保護に細かな配慮がみられる点である。国の公権力は、立法権、行政権、司法権の三権に加えて、市民擁護権と選挙管理権の五権が形式的に分立している。

このうち、注目に値する市民擁護権には、重要な2つの機関が設置されている。ひとつは、民衆擁護局である。この機関は、人権擁護の目的から、公共サービスが適正に運営されているかの監視、違憲訴訟・アンパロ訴訟・人身保護令・情報保護令その他の必要な訴訟の提起などの業務を担当している。ちなみに、民衆擁護官にはその職務遂行においていくつかの免責特権が与えられ、また最高裁判所はその職について専権的に審理しなければならないとされている。もうひとつは、共和国倫理評議会である。この組織の役割は、違反行為を行った行政機関や公務員に対して一定の制裁を科すこと、またこの憲法に対する理解、愛国心や公徳心、人権の遵守や尊重、共和国のその他の重要な価値を指向する教育活動を奨励することなどである。

4.大統領権限の強化:大統領には、各種の強力な権限が与えられている。特筆すべき点は、大統領には議会の解散権が与えられているが、大統領自身は議会からの不信任決議の対象とならないこと、大統領には、副大統領および各省大臣の任免権、閣僚会議の編成権が付与されているが、実際には閣僚会議の決定に対する責任主体は副大統領と各省大臣であり、彼らは議会からの不信任決議の対象となることなどである。

こうした手法については、議会の軽視、権力バランスの破壊につながる可能性も指摘できるが、こうした点は、大統領に対する罷免の国民投票でコントロールできるようになっている。

5.各種権力機関に対する監視と統制:各種権力機関に対する監視と統制には様々な措置が講じられているが、ここでは、特に公務員と裁判官に対する監視と統制について注目しておきたい。公務員がその職務の遂行において違反を犯した場合には、国の賠償責任や公務員の個人責任を追及できることが明記されている。また、公務員の情報提供の透明化を図るため、当該公務員に対する内部検閲が禁止されている。

次に、司法権は独立であり、連邦最高裁判所には機能・財政・運営上の自立権が付与され、また、違憲立法審査権、大統領・大臣・民衆擁護局長といった国の要職の地位にある者の裁判権などの権限が付与されていることが明記されている。しかし他方で、裁判権も市民に由来するとされ、裁判官に対する厳しい監視と制裁も予定されている。例えば、裁判の過誤・遅滞・懈怠などを理由として裁判官の個人責任を追及できると明記されている。

こうした厳しい監視と統制は、過去の汚職の横行と司法の腐敗に対する警戒と反動の産物であると思われる。

 日本では、周知のように現在、国民投票法案に対する議論、人権擁護の強化と拡充、公務員制度改革の必要性、開かれた司法制度と迅速な裁判手続きの確立が重要な課題となっているが、このベネズエラ・ボリバル共和国憲法は、今後の日本の法整備の方向性に多くの有意義な示唆を与える貴重な資料であることは確かである。

詳しくは、「はじめに」をクリックしてください(PDF)

 
 
 
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